3Dスキャンといえば、高価な専用機器が必要というイメージが強いかもしれません。
しかし、近年では単眼カメラを使って手軽に3Dスキャンできる技術が注目されています。
その技術こそが「Photogrammetry(フォトグラメトリ)」です。
身近にある3Dスキャンが搭載されているもので言えば、iPad ProのLiDARセンサー(背面カメラの横にあるセンサー)ですが、これはToFという技術でカメラから物体(被写体)までの距離を正確に測るというものになっています。
弊社でも、サービスに使うためLiDARセンサーを組み込んだ装置を開発していたので実際に触ったことがあるのですが、スキャンの精度が高く処理も早いのが利点です。
ただ、やはりセンサーの単価が高いというデメリットがあります。
(あとLiDARセンサーがよく使われている分野は、自動運転の分野とかですかね)
下は実際にLiDARセンサーで取得したデータの一部です。
それに比べてPhotogrammetryとは、複数枚の写真から3Dモデルを生成する技術です。
写真測量法とも呼ばれ、古くから航空写真や地形図の作成などに利用されてきました。
近年では、コンピュータの処理能力向上やカメラ性能の進化により、個人でも簡単に利用できるようになっています。
最近Googleのマップが立体的になっているのは、フォトグラメトリの技術によるものです。
フォトグラメトリでは素材となる写真が多ければ多いほど被写体のスキャンの精度が上がるので、世界の観光地(写真が多く撮られているので)が精密にスキャンされているようなプロジェクトもあったりします(見ているだけで観光気分になれますよ)
そのほかにも、ウクライナとロシアの戦争によって失われた街並みを写真から立体的に復元するという有意義なプロジェクトにも用いられています。
引用になりますが以下にリンクを貼っておきます。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2208/13/news078_4.html
フォトグラメトリの基本的な仕組みは次のとおりです。
必要なものは、単眼カメラと写真編集ソフトだけです。
スマートフォンがあれば、誰でも手軽に始められます。
実際にフォトグラメトリを利用したアプリが公開されているので、遊んでみるのも楽しいかもしれません。
フォトグラメトリは、手軽に3Dスキャンを始められる魅力的な技術で、デメリットもありますが、撮影のコツを掴んだり適切なソフトウェアを使えば、高精度な3Dモデルを生成できます。
ざっくりとしたフォトグラメトリの説明は上記のようなものなのですが、ソフトがなければできないとなると無料での実装は難しい?のかというとそうでもありません。
僕も実際に写真を数枚(1枚でもいけるんですが写真に写り込んだ部分しか取得できないので、ちょっと物足りないかも)処理にかけてテストをしてみたことがあります。
とりあえずのテスト環境としては、
・Google Colab
(有志で作られたMeshroomというコード(Pythonベース)
https://github.com/alicevision/Meshroom )
であれば、ちょっと時間はかかりますが物体をスキャンできます(試してみると楽しいかもしれないです)
次の機会があれば、実際に携帯で撮った写真でも使って、スキャンする(LiDARセンサーも比較で出そうかな)ところまで紹介しようかと思います。
3Dスキャンに興味がある方は、ぜひフォトグラメトリに挑戦してみてはいかがでしょうか。