フロントエンドエンジニアが意識したいUXの話
【はじめに】
デジタルプロダクトが急速に普及する中で、ユーザーの期待やニーズが変化し、製品やサービスの利用体験が非常に重要になってきました。
ユーザーが快適に製品やサービスを使えるようにすることで、顧客獲得やリピート率の向上が期待できるため、UXはビジネスの成長に直結する重要な要素となっています。
また、同様の製品やサービスが多数存在する市場において、優れたUXを提供することが、競争優位性を得るための重要な要素となっています。例えば、スマートフォンアプリの場合、同じカテゴリーのアプリが数多く存在する中で、使いやすさや視覚的なデザインの優れたアプリがユーザーから選ばれることが多いです。
近年は、製品やサービスの提供者が自社の都合や利益を優先するのではなく、ユーザーの視点を重視するユーザーセントリックな価値観が広まってきました。ユーザーにとって使いやすく、価値のある製品やサービスを提供することが、企業にとっても社会にとっても望ましいこととされています。このような社会的な背景の変化も、UXが注目される一因となっています。
【UXの基礎知識】
『UXとは何か』
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、製品やサービスを使用するユーザーが得る体験のことを指します。
製品やサービスを設計する際に、ユーザーがどのように製品やサービスを使用するかを理解し、その使用体験を改善することを目的とします。
UXは、ユーザーが製品やサービスを使う際に感じる印象、感情、知覚、反応など複数の要素から構成されています。これらの要素は、製品やサービスのインターフェースや機能、アクセシビリティ、操作性、視認性、信頼性などによって影響を受けます。そのため、UXを改善・向上させることで製品やサービスの成功に大きく貢献することができます。
良好なUXを提供することで、ユーザーが製品やサービスに対してポジティブな感情を抱き、リピート利用したり口コミで拡散したりしてもらうことができます。
また、良好なUXは競合他社との差別化やビジネスの成長促進などにも繋がります。
『UXとUIの違い』
・UX(ユーザーエクスペリエンス)
ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーが製品やサービスを使用する際に感じる全体的な印象を指します。UXの目的は、ユーザーが製品やサービスを利用する際に生じる感情や体験を改善することです。
UXは、ユーザーが製品をどのように使用するのかに関する全体的な戦略と観点を指します。
UXには、ユーザー調査、ユーザーテスト、ワイヤーフレーム、プロトタイプ作成、情報設計、ナビゲーションなどが含まれます。
・UI(ユーザーインターフェイス)
ユーザーインターフェイスは、ユーザーがデジタル製品とやり取りするために使用するデザイン、レイアウト、視覚的な要素を指します。UIは、製品がどのように見え、どのように機能するかを設計することを指します。
UIには、アイコン、ボタン、フォーム、色、フォント、イメージなどが含まれます。
UXは全体的な戦略であり、ユーザーの目的や要件を満たすために設計されます。
UIは、デザインや視覚的な要素の面でUXの目標を実現するために使用されます。
UXとUIは相互に関連していますが、別々の要素でありそれぞれが重要な役割を果たしています。
【UXの重要性】
『ユーザー満足度の向上』
UXは、ユーザーがデジタル製品を使用する際に感じる全体的な印象を改善することを目的としています。より優れたUXを提供することによりユーザーの満足度を向上させることができます。
満足度が高いユーザーは、製品やサービスを利用し続け、口コミを通じて他の人にも推奨する可能性が高くなります。
『ユーザー獲得とリテンションの向上』
UXは、ユーザーがデジタル製品を使用する際に生じる感情や体験を改善することに焦点を当てています。ユーザーが製品を使いやすく便利で楽しいと感じるようになると、製品やサービスに対して忠実である傾向があります。
より良いUXを提供することにより、ユーザーの獲得やリテンションを向上させることができます。
『顧客満足度とビジネス成果の向上』
UXは、ビジネス成果に直接影響を与えます。良いUXを提供することにより、製品やサービスの信頼性や使いやすさが向上し、ユーザーの満足度が高まります。
これにより、ビジネス成果を向上させることができます。また、良いUXはユーザーが製品やサービスを利用し続けることを促進するため長期的なビジネス成果にも繋がります。
『競争力の向上』
良いUXを提供することにより顧客満足度とビジネス成果が向上するため、競合他社よりも優れた製品やサービスを提供することができます。競争力を向上させるためには、UXに焦点を当て、ユーザーのニーズや要求を理解することが重要です。
【UXの改善時に見直すべき要素】
UX向上の施策では、自社の顧客体験におけるどの点に見直しが必要でしょうか。UXの改善における代表的な要素には以下のようなものがあります。
『ユーザーリサーチ』
ユーザーリサーチは、UXの改善において非常に重要です。ユーザーがどのように製品やサービスを使用し、どのような問題やニーズを抱えているのかを理解することが必要です。ユーザーリサーチの手法には、ユーザーインタビューやフィールドリサーチ、アンケート調査などがあります。
『ユーザーフロー』
ユーザーフローとは、ユーザーが製品やサービスを使用する際に行う一連の行動や流れのことです。ユーザーフローを分析することで、どのステップでユーザーが躓いたり、ストレスを感じたりしているのかを特定することができます。
『ユーザーインターフェイス』
ユーザーインターフェイス(UI)は、ユーザーが製品やサービスを操作するためのインターフェイスです。UIの改善にはレイアウトやデザイン、カラースキーム、アイコンなどの視覚的な要素が含まれます。UIを改善することで、製品やサービスの使いやすさを向上させることができます。
『パフォーマンス』
製品やサービスのパフォーマンスは、ユーザー体験に直接影響を与えます。パフォーマンスの改善には、サイトの読み込み速度の改善や、アプリのクラッシュやエラーの修正などが含まれます。
【UXに対し、フロントエンドエンジニアが意識すること】
『ユーザーの視点に立つ』
製品やサービスを作成する際に、常にユーザーの視点に立ちユーザーが求める体験を追求することが重要です。ユーザーのニーズを理解するために、ユーザーインタビューなどのユーザーリサーチを実施することが必要です。
『シンプルでわかりやすいUIの実現』
ユーザーが製品やサービスを使用する際に、UIがシンプルでわかりやすいことが大切です。文字やアイコンのフォント、色、レイアウトなどを選定する際には、ユーザーの使いやすさを優先することが必要です。
『レスポンシブデザインの採用』
製品やサービスが複数のデバイスで利用されることがある場合は、レスポンシブデザインを採用することが必要です。スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデバイスに対応し、ユーザーがどのデバイスからでも快適に利用できるようにすることが大切です。
『パフォーマンスの最適化』
製品やサービスの読み込み速度や動作が遅いとユーザーにとってストレスになる場合があります。Webページの読み込み時間を短縮する、JavaScriptのコードを最適化するなどの対策を実施することで、ユーザーに快適な体験を提供することができます。
『ユーザー行動のデータ分析』
ユーザーが製品やサービスをどのように使用しているかを把握するために、ユーザーの行動データを分析することが重要です。これによりユーザーがどのような課題や問題に直面しているかを把握し、それに応じて改善点を見出すことができます。例えば、特定のページが閲覧されていない、コンバージョン率が低いなどの問題がある場合は、そのページのコンテンツやデザインを改善することで、ユーザーの利用体験を向上させることができます。
【まとめ】
ユーザーにとってフロントエンドエンジニアは、使いやすいWebサイトやアプリケーションを開発することが求められているため、UXを考慮しない開発では、ユーザーに受け入れられないWebサイトやアプリケーションが出来上がってしまいます。
UXを意識することで、ユーザーにとって使いやすいWebサイトやアプリケーションを開発することができ、ビジネスの成功にもつながるため、フロントエンドエンジニアにとってUXを意識するということはとても重要な要素となっています。